【プロフィール】- タンカ絵師 西 洋児

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Profile

西 洋児  1972年3月生まれ

1997年にネパールに渡り、当時カトマンズ郊外にあるスワヤンブナートの近くに住んでいたタンカ絵師カルマ・トゥプテン氏宅に住み込みでタンカを学び始める。同時にチベット語を学ぶ為にネパール国立トリブバン大学のチベット語学科に入学。カルマ氏の家族と生活を共にしながら、約2年間キャンバスの制作や彩色技法等タンカの制作を基礎から学んだ後、1999年にボーダナート近くに部屋を借り約1年間タンカの制作に励む。

2000年、ボーダナートのストゥーパ近くにあるシェチェン寺ツェリン・アートスクールに入学しタンカ絵師クンチョク・ラデーパ氏に師事。ツェリン・アートスクールのカリキュラムに従い再度タンカの基礎から学び、尊格のプロポーション、彩色技法、曼荼羅、カリグラフィーなどが含まれる全6年制のカリキュラムを修了。2004年にはボーダナート郊外に建設された寺院の壁画制作にも携わり、翌2005年に同校を首席卒業。シェチェン寺より”ラデー・ロプン(細密画の学士号)”の認証を授かる。

卒業後はベルギーに渡り、ブリュッセルのチベット仏教センターを中心にフランスやポルトガルにて制作活動。

タンカと共通する画材で制作される日本画や特に日本の仏画にも強く惹かれる中で、2007年に日本の古い仏画の模写の注文を受けたのを機に一時日本へ帰国し、絹本彩色や截金の技法を学ぶ。

2010年には、タンカの制作において伝統的に使用される、天然の鉱物顔料や染料への理解を更に深めるために北インドに渡る。

2011年にアトリエをベルギーからスペインに移し、現在はアンダルシア地方マラガで制作活動を続けている。(最新の制作情報などはブログをご覧ください)
カルマ・トゥプテン・・・・・東チベット、ナンチェン出身のカルマ・ガディ派のタンカ絵師。 現在はネパールに住み、希望者のネパールでの滞在期間に合わせ長期または短期でタンカを指導。 これまでに日本をはじめとした様々な国からの生徒を多数指導してきた経験をもつ。【戻る】
 
ツェリン・アートスクール・・・・・ツェリン・アートスクールのホームページ(英語)
ネパール、カトマンズにあるチベット仏教ニンマ派シェチェン寺境内にあるカルマ・ガディ派のタンカの学校。 シェチェン寺の現僧院長シェチェン・ラプジャン・リンポチェによって1996年に建立。 一枚の葉の描き方といったタンカの初歩技術から始まり、 徐々に各尊格の描き方から彩色、曼荼羅、そしてチベット文字やレンツァ文字まで学べる全六年間のカリキュラムには、週六日の技術習得の授業に加えてタンカの歴史や、タンカと関連した仏教の歴史、 経典、修行方法を学ぶ関する授業も含まれていて、タンカを単なる絵画技術としてではなく、仏教の教えと結びつけ正しく学ぶことのできる数少ない学校。【戻る】

クンチョク・ラデーパ・・・・・ツェリン・アートスクールの校長で、シッキムの有名なタンカ絵師 故ラデー・タギェルのもとでタンカを学んだカルマ・ガディ派のタンカ絵師の一人。素晴らしいタンカの才能と長年の経験、そしてディルゴ・ケンツェ・リンポチェのもとで長年培った仏教の知識と理解が、彼をカルマ・ガディ派の伝統を正統に受け継ぐ数少ないタンカ絵師のなかでも特別な存在としている。 著作として、ツェリン・アートスクールでも使われているタンカ教則本"The Path To Liberation"がある。  【戻る

截金・・・・・日本で仏像や仏画の装飾に用いら れてきた技法。 高熱によって金箔やプラチナ箔を数枚焼き付けたものを、静電気を帯びないように竹で作られた刀を使い髪の毛のように極細く切ったものや、ひし形、三角形などに切り取ったものを膠液で画面に貼り付けて美しい紋様を作り出す技法。 箔を運ぶための筆と、貼り付ける場所に膠液を塗るための2本の筆を左右の手に一本ずつ持って制作される。【戻る】