チベット語:サンギェ・シャカトゥッパ 紀元前5世紀ごろに釈迦族の王子として生まれ、29歳の時に王族としての生活を捨てて出家。様々な苦行や瞑想修行を経て35歳の時にインドのブッダガヤで悟りを開きます。その後は各地を巡って法を説き、80歳で入滅。 仏教の開祖ということもあり、釈迦牟尼仏の姿はタンカでは非常に多く描かれます。 本作品のように蓮台に座す姿のほかに、チベット語でゼーパ・チュニと呼ばれる釈尊の12の偉業を描いた仏伝図が、タンカまたは寺院本堂の壁画に多く見られます。 タンカを学ぶ際に、基礎を習得した弟子が最初に描かせてもらえる尊格として選ばれることが多いのも釈迦牟尼仏で、タンカでは阿弥陀如来や薬師如来などの僧形の尊格に限らず、多くの尊格がこの釈迦牟尼仏と同じ寸法で描かれます。
制作年:2021年 寸法:45×65.5cm <基底材> 綿布、チョーク、膠液 <彩色画材> 藍銅鉱、孔雀石、本藍、黄土、胡粉、純金泥など
仏教の開祖釈迦牟尼仏を描いたタンカで、釈迦牟尼仏が座す蓮華座はそれぞれの色が相互により強調するように、青・緑に対してオレンジ・赤を配列した彩色が施され、その上には智慧と方便を象徴する日輪、月輪が描かれています。 釈迦牟尼仏一尊のみが描かれ、通常のタンカのような空の雲や背後の山々などは描かれず、背景には蓮群が淡く描かれているだけのシンプルな構成のタンカですが、釈迦牟尼仏の周りの聖獣や玉座、衣の模様、供物などには非常に細い描写がされています。
女性のナーガ”ナギニ”の尾を踏みつけるガルーダの足元。
玉座を支える二頭のセンゲ(雪獅子)と柱に絡みつく龍の描写。
翡翠色の台の上に並べられた数々の供物。